そんな、ある日だった。
火星への移住一期生候補として、翔が選ばれた。
それから一ヶ月後、翔は正式に火星への移住者に選ばれ、世界でも僅か100人の内の一人になった。
翔は希望に満ちていて、でもぼくのことで気にやんでくれていた。
最後の最後まで、ぼくのためにこのチャンスを棒に振ろうとしてくれていた。
でもぼくは翔に少ない言葉でたどたどしくもいってほしいと何度も伝えた。
翔も、ようやく決意して。
出発の日に、ぼくは街の大きな画面を見ていた。
カウントダウンが始まって、ゼロと同時に打ち上げられたロケットは空高くうち上がり。
高く、高く上がって…


