翔は成績優秀で、気さくな人柄で人気があった。
ぼくにとって翔は一人だけど、翔にとってはぼくは何分の一人だ。
でも、ぼくは幸せだしそれ以上を望んではいない。
翔は、裕福な家庭に育ったらしい。
裕福で自由な家庭。
兄が一人いる。
ずっと年の離れた兄だ。
翔は、まともな食事を与えられないぼくを気遣って色々なレストランへ連れていってくれる。
ぼくは翔の家族と何度も会ったし、翔の家族なら表情くらいはわかるようになっていた。
兄はぼくを本当の弟のように可愛がってくれたし、両親もぼくに同情し、何度もぼくの家族に会って話をした。
次第にぼくは部屋もベッドももらえるようになった。
全部、翔のお陰だ。


