ベ・ス・ト・フ・レ・ン・ド/ショ・ウ


とある湖畔でバスを降りて、僕は初めてきたそこの地図をリトコンに表示させる。

正式名称をリトル-コンピュータと名付けられたこれは超薄型小型携帯電話兼コンピュータ及び人工頭脳。

最新型はもっと小さいけれど僕にはこれで十分だ。


湖面は静かで、凍ってもいないのにピクリとも動かない。

僕は画用紙の世界でその湖を小さなコップに閉じ込めた。


きっと、あの鏡の下には魚達の世界が広がっている。

人工的で。

全てが美しい魚達の楽園が広がっている筈だ。


手元に影が落ちて来たのを見て、僕はもう夕方になった事を知った。

そこで初めて、僕は昼食をとっていないことに気がついたけれど。



まあいいかとバスに乗って、家に帰った。