ベ・ス・ト・フ・レ・ン・ド/ショ・ウ


空は何処までも高く、広いのに。

僕の街は狭くて息苦しい。

ドームで覆われた透明な空間。そこが僕の街だ。


何もこういうところが僕の所だけじゃないのだけれど、透明な壁に隔てられた外の世界に、たまに行ってみたくなる。


でも分かってるんだ…出られない事くらい。

外にはもう、何も住めない。

再生可能な社会は遂に実現しなかったのだ、人間のせいで。


この数年は激動の時代だった…ううん、正確にはこの十年か、百年か。

空気中の汚染物質が遂に致死量を超えたのはまだ記憶に新しい。

街は美しかったけど、それは無色透明で無臭な気体だったからに過ぎない。

融点は7.5度、つまりそれは液体になって街に、森に降り注ぐ。

緊急策としてこうやって街が覆われた。

ドームは少しずつ厚くなるんだ。



だからいつか、

青空を知らない子供が生まれるんだろうな。


なんて。

たまに僕は考える。