亮 「葵、取り敢えず心優ちゃん処置室連れて行くぞ!」


そう言い亮は警察を呼びその男を警察に受け渡した。


葵は心優を姫抱きにし、走って処置室に連れて行く。



喘息発作が酷く、意識を手放してしまった心優。



中島 「葵先生っ!心優ちゃん呼吸停止ですっ!」


葵 「挿管する!」



………




何とか一命をとりとめた。



集中治療室で呼吸器をつけて眠っている心優の手を握る葵は後悔しかなかった。


葵 「ごめんな、心優。怖い思いさせてごめんな。おれが守るって言ったのにな。」

眠っている心優に話しかける葵。



あの時許可を出さなかったらよかった。

あの時外来が終わるまでダメって言うべきだった。

いや、外来の前に少し時間を作って連れて行くべきだったのかもしれない。


亮 「葵、そんな顔してると心優ちゃん起きた時心優ちゃんが悲しむぞ?

自分を責めるな、葵。


悪いのは葵じゃなくて、あの出版社だ。」



葵 「もう少しだったのに。」


亮 「え?」



葵 「せっかくここまで心優が心開いてくれてたのに。
あと少しで、元の心優に戻れてたのに。
やっと笑えるようになったのに。
やっと自分の気持ち言葉にするようになったのに。
なんで、心優ばっかり。」



亮 「今の心優ちゃんなら大丈夫だよ。
きっとまた笑えるようになる。

どんなことがあっても守るって決めたんだろ?

お前が信じてやらないといけないんじゃないのか?

そんな顔してないで、笑ってないと!

葵の笑顔が1番心優ちゃんを安心させられるんだから。」



葵 「あぁ」




それから朝まで葵はずっと心優のそばを離れなかった。



中島 「葵先生大丈夫ですかね?
あんなに自分を責めてる葵先生初めて見ましたよ、僕。」


亮 「大丈夫に決まってんだろ?」


中島「そうですよね!大丈夫ですよね!」


医局でそう話す亮と中島。