葵に中庭に行ってもいいと言われ、
さっそく中庭にきた心優。


伸びをして深呼吸すると、
気分がすっきりする。


空が好きな心優は、中庭の芝生に横になり、
空を眺めていた。


葵との《時間を忘れないこと》という約束を忘れ、何時間もずーっと空を見ていた。


すると、突然影が現れ、横をみると
知らないスーツを着た男が心優を見ている。


心優は怖くなり、体を起こし、その場を立ち去ろうとすると、


男 「結城心優ちゃんだよね?」

と声をかけられた。


心優は怖くて怖くて体が震える。


男 「そんなに怖がらないで?僕、立田出版のもので、君にこの間の事件について詳しく話を聞かせてもらいたくて。
ずっと探してたんだー君のこと。

やっと見つけた」


ニヤッと微笑んだ顔が心優にさらに恐怖心を与えた。


心優はその場を走って逃げようとすると、


男 「あ、走っちゃダメなんじゃないの?
喘息持ってるんでしょ?
事件の時も発作起こして意識失ったみたいだし。」


なんで?なんでそんなこと知ってるの?

怖い怖い怖い怖い

葵のところに行かなきゃと頭では分かっているが、あの時と同じで恐怖のあまり体が反応しない。


心優は鮮明に事件のことを思い出してしまった。


蘇る男の顔、恐怖心、痛み。

全てが鮮明にフラッシュバックする。



心優 「やだっ!はぁはぁはぁはぁ、来ないでっ!はぁはぁはぁはぁ!」


男 「え、ちょ、落ち着いて?ね?
ゆっくり話しよう?」


男が腕を掴んだ瞬間



心優 「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーー、はぁはぁはぁはぁ、あ゛ーーーーーーーーーーーーー、わーーーーーーーーーーーーーーーーーあ゛ーーーーーーーーーーーーーーー、はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ。やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!殺さないでーーーーーーーーーーーーーーー!お願い!はぁはぁ、離してっ!はぁはぁはぁはぁ!」



まわりにいた患者さんは驚いて近づいてくる。

患 「ちょ、あなた何してるんですか?
この子嫌がってるじゃないですか!」

患 「君、大丈夫?」


患 「ちょ、誰か先生呼んだ方がよくないか?」


口々に発言する患者たち。


いろんな人が集まってきて声をかけてくれるが、心優にはすべての人が自分を殺しに来たんだという錯覚に陥り、とにかく泣きながら叫び続ける。





心優 「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ。ゲホゲホヒューゲホゲホヒューゴホゴホゴホッヒューヒュー」


喘息の発作が出てきてしまった。



葵 「心優っ!」


その時、患者から聞きつけた葵が心優の元に駆け寄る。



何が何なのか判断ができなくなっている心優は葵ですら拒否反応を示す。