青空の下で

注射を刺した途端、心優が腕を引いたので、亮が固定し、中島は足に拘束バンドをつけ始めた。


注射を終え、葵と亮は心優の手に拘束バンドをつける。

そして酸素マスクを付ける。



それでも暴れようと体を動かす心優。


葵「心優ちゃん!大丈夫だよ!ほら、葵先生だよ?わかるかな?」


心優の頭を優しく撫でながら声をかけ続ける葵。


それでも心優のパニックはなかなか治らない。


亮 「1回眠らせた方がよくないか?葵?」


葵 「ああ、そうだな。」


中島 「僕取ってきますね。」



そういい中島が睡眠薬を取りに行った。


すぐに持ってきてくれた中島から睡眠薬を受け取り、また心優に注射を打つ。



数分すれば眠った心優。


喘息発作も大きかったからか、顔は真っ青。

呼吸音も聴診器を使わなくてもはっきりとヒューヒューと喘鳴が聞こえ続けている。



亮 「やばいな。心優ちゃんのパニック発作。

喘息も一緒に出るから心優ちゃん自身も苦しいだろうし。」


中島 「結構大きな発作でしたもんね。」


看護師 「ほんとにすみませんでした。私の不注意のせいで、心優ちゃん苦しませちゃって。ほんとに申し訳ありません。」


涙ながらに謝る看護師。


葵 「うん、心優ちゃんにお花見せようと思ったんでしょ?
心優ちゃん空とか花とか動物もだけど、そういう自然なもの好きだから、嬉しかったと思う。

でも、大きな音は今は特に敏感だから気をつけてあげてね。」


なんて微笑みながらいう葵はすごいと思う。



看護師の不注意なんて、あってはならないものだから、たいていひどく怒る医者が多い。


でも葵は人の気持ちを1番に考える人だから、そんなことはしない。