青空の下で

葵は持ってきた暖かいお湯とタオルを使い濡れてしまったズボンを下ろし、優しく拭いてあげる。



未だに心優の涙は止まらず声こそは出ていないものの、たらたらと頬に涙がつたう。



葵はささっと体を綺麗にし、心優に新しい服を着せ、親指で心優の涙を拭う。



葵 「ごめんね。トイレ行きたかったよね。体痛くて歩けなかったんだよね。」


心優の頭を優しく撫でながらそう声をかける。



葵 「心優ちゃん、体に力入れられるようになるまで、嫌かもだけど、おしっこの管入れさせてね。」



心優 「グスッヒックヒック、何それ?グスッヒック、ぃゃ、やらない。ヒックヒック。な、んで?グズッ」


そりゃ、嫌がるに決まってる。年頃の女の子だ。

大人でも男でも嫌がる人は嫌がる。


でもやらなければまた今日みたいに恥ずかしい思いをすることになる。

それはそれで可哀想だ。


葵 「おしっこの穴から管いれてトイレに行かなくてもいいようにするの。

心優ちゃん、今いっぱい点滴してるから体の中に水分たくさん入ってるでしょ?

だからトイレ行きたくなっちゃうのは当たり前なんだ。

心優ちゃんは今体痛いからさっきみたいに自分でトイレいけないかもしれない。

それは嫌でしょ?

だからちょっと我慢できないかな?」



心優 「いやぁだ、グズッズビッヒック、我慢できない!ヒックヒック。」



葵 「でも、先生も心優ちゃんがトイレ行きたくなった時、毎回は来られないかもしれない。

ほんとはオムツにしようと思ったんだけど、ほら、さっきの時間で心優ちゃん皮膚が赤くなって痒くなってるでしょ?

だから、ちょっとだけ頑張って欲しいな、先生。」



心優 「グスッヒック、グスッゲホッゲホッ。」



泣き止まず、ぐずぐずと心優は落ち着かない。


落ち着くまで頭を撫でる。





心優「痛い?」

しばらくしてようやく口を開いた心優。



葵 「これ?んー、人によるみたい。痛がる人は痛がるし、平気な人もいる。

先生もなるべく痛みが出ないように頑張るからさ、ね?」



心優 「ん、いーよ。頑張る、ズビッ、ヒック」


できれば無理矢理はやりたくないと思っていた葵は心優の口から頑張ると聞けて嬉しかった。



葵 「心優ちゃん、えらいっ!」



頭をくしゃっとして、微笑む葵に、それに応えるように心優は葵の白衣をぎゅっと握った。