青空の下で

処置が終わり目を覚ますと途端に涙を流していたのを葵は今でも鮮明に覚えている。


最初は何を聞いても話してくれず、診察すらまともにできなかった。

ちょっと強引にすると涙を流し、嫌と抵抗する。


実はこの時も精神科に連れて行こうという話が出ていたが、葵がどうしてもと強く抗議し、精神科には連れて行かなかった。



何を聞いても答えてくれない心優にただひたすら話しかけるだけの毎日。

葵がその日見たものや聞いたこと、それを心優に語り続けていた。


そんな日が続き、ある日心優が笑った。
それは、葵が動物についての豆知識を話した時だった。


心優は動物が好きなんだと教えてくれた。


口数は少ないが一歩ずつ進歩していき、
1年も経つとすっかり葵に心を開いていた。