"でも"とまだ言いたそうな心優を遮るように葵は心優の額に手をあて、首にあてる。
葵 「ほら、体も冷えてるし、熱上がっちゃうと大変だから、戻ろう」
そう言って心優を抱き上げた。
もう熱が上がってるのか、心優はぐったりしている。
葵 「寒いんでしょ、体震えてる」
心優 「…さ、むい…」
中島 「僕、湯たんぽ取ってきますね」
葵 「ありがとう、頼むよ」
病室につき、心優をベッドに座らせる。
ベッドも起こして、もたれられるようにする。
葵 「ちょっと体温測ろう」
そう言って体温計を挟み鳴るのを待つ。
ピピピピッピピピピッ
葵 「うわっ、心優きついでしょ、よく外なんか行けたね。39.6℃もある。」
心優 「…んぅー…」
亮 「点滴持って来るわ」
葵 「サンキュ」
葵 「ちょっと胸の音聞くから深呼吸してて?」
そう言い、心優の服をまくり、聴診する。
葵 「……よし、いーよ。
心優呼吸器苦しくない?」
心優 「…ん」
怠くて目を瞑り返事をする。
中島 「葵先生ー、持ってきました!
ちょっと、急変で呼ばれたので、行ってきますね」
そう言って早足で出て行く。
葵 「ありがとう」
葵は湯たんぽを布団の中に入れる。
亮が点滴を持って戻ってきた。
葵 「心優?起きてる?」
心優 「寝るわけない…」
亮 「はははっ」
葵 「点滴入れるからちょっとチクッとするよ」
心優 「痛いっ!」
葵 「できた!頑張ったね」
頭を撫でながら褒める。
熱で真っ赤な顔をしながらも微笑んでくれた心優。
葵 「じゃあ、もう寝ようね」
そう言うと亮がベッドを下げてくれた。
心優 「寝たくない…」
葵 「熱高いんだから寝なきゃダメだよ!
ここにいてあげるから」
亮 「じゃあお部屋の電気消すね。
おやすみ心優ちゃん」
亮は電気を消し部屋を出て行く。
葵は心優のお腹をトントンとリズムよく叩く。

