青空の下で


急患のピークがすぎ、時刻は夜中の2時。



亮 「お疲れー」

中島 「お疲れ様です。
今日は激しかったですね」


葵 「ほんとなー」




3人で話しながら歩いていると、



向こうから慌ただしく看護師が走ってくる。



看 「はぁ、はぁ、はぁ、葵先生!

さっき病棟の見回り行ってたんですけど、

心優ちゃん、お部屋にいないんです!」



葵 「え?!…トイレかな…?」



看 「トイレも探したんですけどいなくて…」



葵 「え……」




亮 「とりあえず手分けして探そう」



中島 「僕、南病棟探してきます!」


亮 「じゃあ俺西探すから葵は北病棟探して、看護師たちはもっかい東病棟探して?」



看 「分かりました!」



それから手分けして探した。



葵 「はぁ、はぁ、いたー?」


亮 「いない、はぁ、はぁ、」


中島 「こっちもいません」



葵 「はあー、もう、どこいったんだろ?」



そう言いながら中庭の横を通り過ぎると、



中島 「あー!あれ、心優ちゃんじゃないですか??ほら、あそこ!」



葵 「ほんとだっ!」



中庭のベンチに座っている心優。



葵 「心優!」


葵が近づきながら呼ぶと心優は振り返ったのがわかった。


夜中だからあたりは真っ暗で、


表情までは読み取れなかったが驚いている様子。



心優 「…あ、おい?…」



葵 「うん…何してんの。
こんなとこで。
こんな時間に。」


心優は怒られてると思っているのか、体をシュンと小さくさせる。


心優 「……葵…こそ…なんで?…」



葵 「俺?
俺は救急回ってたから、まだ病院いたの。

…んで?心優は?」


心優 「……トイレ…行ったの」


葵 「トイレはこんなとこまでいつもこないでしょう?」


心優 「……廊下…から見た空…」


葵 「ん?…空?」


心優 「…空…星がいっぱい…見えて…綺麗で…」



葵 「そっか。星見たくなったんだ。」



心優は体をシュンとしながら頷く。



葵 「でも、勝手にこんなとこ来たらダメでしょ?今日熱も出てるのに…」


心優 「ごめ…なさい…」


葵 「うん、今度からは俺のこと呼んで?

ちゃんと連れてきてあげるから。

…勝手にいなくなったらみんなビックリしちゃうから…ね?」



心優は頷く。



葵 「でも今日はお熱あるからもう戻ろう?」



心優 「いや…まだ空見てたい!
今日満月だよ?星も綺麗に出てるし…」



亮 「心優ちゃん、またお熱下がったら葵に連れてきてもらいな?
早く下げないと心優ちゃんも辛いでしょう?体。」



心優 「だけど…満月…」


葵 「満月ならまたくるから。ね?
今は体調を優先しなきゃ。」