ラグタイム2号店

俺は大輔さん――『ラグタイム』に多大なる迷惑をかけてしまったと言うのに、彼は2号店を任せると言うことで俺を許してくれるのだと思った。

「ありがとうございます!」

俺は大輔さんに頭を下げて、お礼を言った。

「もう2度とこんなことをするんじゃねーぞ」

ポンと、俺の頭のうえに手を置いた大輔さんに、
「はい」

俺は返事をした。

殴られる覚悟はもちろん、最悪の場合はクビを覚悟していた。

許してもらえたことにホッと胸をなで下ろしたら、
「夕貴さん」

翼が夕貴の名前を呼んで、武人が翼の隣に並んだ。

そうだ、夕貴は何故『ラグタイム』にいるのだろう?

俺の代理として働いていたこと。

彼らは夕貴に関する事情を知らなかったこと。

この場に、不穏な空気が流れたのを俺は感じた。