ラグタイム２号店

「お前たちはどうして、月明島へ行こうと思ったんだ？」

大輔さんの質問に、
「静絵がそこへ行きたいって言ったんだ。

月明島は家族で旅行した島で、そこで七夕の日に開催されていたお祭りに家族と参加したって話してくれたんだ」

俺は答えた。

その瞬間、お母さんとおばあさんの顔があがった。

「…覚えていてくれたの？

そんな昔の出来事を」

呟くように言ったお母さんに、
「最初で最後の家族旅行だったから、覚えてた…」

静絵が答えた。

「――静絵…」

お母さんに名前を呼ばれた静絵は俺から離れると、２人のところへと歩み寄った。

「ごめんね、本当にごめんなさい…」

お母さんは泣きながら静絵に謝ると、静絵を抱きしめたのだった。