ラグタイム2号店

「静絵は小さい頃からずっと、ずーっと寂しい思いをしてきたんですよ!?

子供の頃から跡継ぎのお兄さんばっかりかわいがられて、自分には声をかけてくれたこともない。

お兄さんにはいろいろな習い事をさせて予備校にまで行かせていたのに、自分はピアノと習字を習わせただけで後は何もしてくれなかった。

彼女が通っている学校だってそうだ。

おばあさんとお母さんが卒業生だったからと言う理由で入学させられた。

学校を卒業したら親子ほど年齢の離れた男と結婚をしないといけないって、人生を決めさせられた。

駆け落ちがバカなこととか何とか言ってるけど、静絵は寂しかったんだよ!

愛されたいって言って毎日泣いてたんだよ!」

こんなにも怒鳴ったのはいつぶりだろうか?

怒鳴りながら言った俺に、おばあさんとお母さんはうつむいた。

静絵が俺の手を、壊れ物を扱うように握ってきた。

俺は静絵の代わりに、今までの気持ちを代弁してあげているんだ。

だから、お前は気にしなくても結構だ。

そう思いをこめると、俺は静絵の手を握り返した。