真渕さんが出て行ったことを確認すると、
「――ッ…」

静絵は泣き出した。

俺は静絵を抱きしめると、
「今までよく耐えたよ。

静絵はよく耐えたよ」

彼女の背中をさすって、励ました。

明日の事情聴取で大輔さんからはもちろん、武人や翼や黒崎さんにいろいろなことを言われるかも知れない。

静絵の家族からも非難を浴びることになるかも知れない。

最悪、彼らから殴られることを覚悟した方がいいだろう。

そんな中で俺が唯一できる方法と言ったら、静絵を守ることだ。

駆け落ちを提案して、一緒に逃げることを提案したのは俺だ。

責められるのも殴られるのも、全て俺の役目だ。

だからせめてもの方法として、俺は彼らから静絵を守ろう。

静絵が泣き疲れて眠るまで、俺は彼女の背中をさすった。