俺はどんな顔で、真渕さんを見ていただろうか?

「弟のようにかわいがってきたお前が心配なのはもちろんのことだけど、何よりも大切なのは店の信頼だろうな」

隣に静絵がいなくて、そのうえ彼女と手を繋いでいなかったら…俺は真渕さんを殴っていたかも知れない。

大輔さんが俺よりも店を優先したなんて、そんなことを信じたくなかった。

午後3時の船がやってきて、俺たち3人はそれに乗った。

その間俺たちは一言も言葉を交わさなかった。

船を下りて、バスで駅まで行くと、新幹線に乗った。

到着した頃には夜の8時をすでに過ぎていた。

時間が時間と言うこともあり、俺たちは駅の近くのビジネスホテルで宿泊することになった。

「俺は隣の部屋にいるから何かあったら必ず俺を呼んでくれ」

そう言って真渕さんは俺と静絵を部屋に閉じ込めた。