その足で俺たちが向かった先は、船乗り場だった。

「おっ、きたか」

真渕さんが俺たちに気づいた。

「たった今、大輔に連絡をしたよ。

明日すぐに『ラグタイム』で事情聴取を行うそうだから」

そう言った後、真渕さんは静絵に視線を向けた。

「君のお母さんとおばあさんもそこにくるって」

彼の唇から出された言葉に、静絵はうつむいた。

「しかし、大輔も大変だな」

真渕さんはやれやれと言うように息を吐いた。

俺は彼に視線を向けた。

自分の方に向けられた視線に気づいたと言うように、
「客の女に手を出して、そのうえ彼女と一緒に逃げ出した最低な店員がいる店だって言う悪い噂を流されたら、とてもじゃないけど営業はできないよな」
と、言った。