「そう言うことだったんだ」

駆け落ちすることになってしまった事情を説明した後、安藤さんが言った。

「黙っていて、本当に申し訳ありませんでした」

俺と静絵は頭を下げた。

「逃げたくなった理由はわからなくもないけれど、親御さんとちゃんと話をした方がいいと思うよ」

夏代さんが言った。

「はい、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

俺たちは部屋へ行くと、荷物をまとめた。

「話をしたって、仕方がないだけなのにね…」

そう呟いた静絵に、
「でも俺たちを探しにきたって言うことは、家族も反省をしたって言うことなんじゃないかな?

娘がいなくなって、自分がどれだけ娘を傷つけて寂しい思いをさせたかと言うこともわかったんじゃない?」

俺は言った。