それまで不安そうな顔をしていた彼女が笑ったことが嬉しくて、俺もつられるように笑った。

「しっかりしているように見えたんですけど、意外とそそっかしいところがあるんですね」

笑いながらそう言った彼女に、
「それ、妹によく言われる」

俺は言い返した。

「妹さんがいるんですか?」

そう聞いてきた彼女に、
「双子の、だけどな」

俺は答えた。

「へえ、双子なんですか…」

彼女は珍しいものを見るような顔をした。

自分で言うのもおかしいが、双子と言うのは珍しいと思う。

俺たちを一目見ようと教室に見物客が押し寄せてきたのは、学生時代のいい思い出だ。

「そう言えば、名前を聞いていませんでしたね」

思い出したと言うように彼女が言った。