月明祭当日を迎えた。

「今日は絶好の祭り日和だなー」

雲1つもない青空を眺めながら、安藤さんが言った。

いつもは夜の7時まで営業しているのだが、この日は夕方の5時に店じまいをした。

店じまいを終えると、早めの夕食と風呂を済ませた。

時間が夜の7時を差した時、俺たちは提灯を持って家を出た。

先ほどまで明るかった空は7時を過ぎるとようやく日が暮れていた。

あちこちの家から俺たちと同じように提灯を手に持った島民たちが出てきていた。

これから俺たちは町内会長の家へ向かい、そこで提灯に火を灯してもらうのだ。

そこから山のうえにある神社へと向かって行くと言う訳である。

「静絵、提灯持つか?」

俺が声をかけたら、
「朝貴さんが持って」

静絵はそう答えると、俺と手を繋いだ。