ラグタイム2号店

売店で買ったアイスクリームを、海を見ながら食べた。

「楽しいね」

静絵が話しかけてきたので、
「ああ、楽しいな」

俺は答えた。

都会とは違って、島はゆっくりとした時間が流れている。

急かされるように過ごしていた毎日がウソみたいだ。

「最初はどうなるかなって思ってたけど、ここへきてよかった」

静絵が言った。

「静絵が思いついた場所がここでよかったよ。

ここへこなかったら、俺は何も知らないままだったと思う。

時間はこんなにもゆっくりと流れていることや潮風と太陽が心地いいことも、何も知らなかったと思う」

俺がそう言ったら、
「ホント?」

静絵が嬉しそうに聞いてきたので、俺は首を縦に振ってうなずいた。