ラグタイム2号店

「俺が2人を雇ってやるよ」

そう言って微笑んだ安藤さんに、俺の胸が温かくなったのを感じた。

「なれないことはあると思いますが、よろしくお願いします」

静絵が頭を下げたので、俺も頭を下げた。

「ああ、こちらこそよろしくな」

安藤さんが頭を下げた。

その後で戻ってきた夏代さんに自己紹介をすると、彼女が作ってくれた夕飯を食べた。

片づけを済ませた2階の角部屋に案内されると、俺たちは一息ついた。

「よかったな、住むところが見つかって」

俺がそう声をかけると、
「迷惑をかけちゃうかも知れないけど、ちゃんと指導してね」

静絵が言った。

「じゃあ、早速やるか?」

「お手柔らかにね?」

俺は静絵に接客の心得とお盆の持ち方の指導を、風呂がわいたと呼び声がかかるまで行った。