ラグタイム2号店

俺たちは顔を見あわせた。

静絵が不安そうな顔で俺を見つめている。

「参ったな…」

初日から野宿はあまりにもついていない。

お互いの顔を見あわせてどうしようかと悩んでいたら、
「どうかしたか?」

奥の方から聞こえた野太い声に視線を向けると、
「わっ!」

俺は驚いて声をあげた。

そこにいたのは、熊かと聞きたくなるくらいの大きな男だった。

年齢はよくわからないけれど、たぶんおじさんだ。

「ああ、あなた」

おばさんがその人に声をかけた。

あっ、夫婦だったのね…。

その様子に、俺は心の中で呟いた。

「この方たちが今日泊まるところを探しているみたいなのよ」

おばさんがおじさんに声をかけた。