ラグタイム2号店

「昔は民宿があったからそこに泊まったんだけど…今、やってるかな」

「その民宿の名前って覚えてる?」

俺の質問に静絵は考えると、
「確か、『空蝉』って言う名前だった」
と、言った。

「民宿の名前もわかったことだし、誰かに聞いてみよう」

「そうだね」

俺と静絵は首を縦に振ってうなずくと、その場を後にした。

「すみません、ちょっとお尋ねをしてもよろしいでしょうか?」

たまたま近くを通りかかった人に俺は声をかけた。

「『空蝉』って言う名前の民宿を探しているんですけど」

「ああ、あっちだよ」

その人は指差した。

「ありがとうございます」

場所もわかったので、俺たちはお礼を言うと歩き出した。