ラグタイム2号店

大輔さんは俺が専門学校に通っていた時にバイトで一緒だった先輩だ。

彼の独立に誘われた時、俺も一緒について行ったのだ。

そして、俺と大輔さんと黒崎さんの3人で『ラグタイム』を立ちあげたと言う訳である。

大輔さんは俺の兄貴的存在だ。

「白石さんが来月のゴールデンウィークに妹さんと旅行に行くそうなんですよ」

俺の代わりに黒崎さんが答えた。

「へえ、いいじゃん。

何かみやげ買ってこいよ」

大輔さんが言った。

当たり前だけど、彼らは何も知らない。

と言うよりも、俺が静絵とつきあっていること自体も知らないのだ。

「ええ、楽しみにしてくださいね」

そう言った俺は、うまく言えていただろうか?