ラグタイム2号店

「決行日は…」

俺は5月のところで手帳を広げると、日付の確認をした。

「たぶん、4日辺りから帰省ラッシュになるかも知れない」

トントンと、指先で4日の欄をたたいた。

「その日に私たちは逃げるのね?」

確認するように聞いてきた静絵に、
「ああ、そうだ」

俺は答えた。

静絵は微笑むと、俺の手を繋いだ。

「静絵?」

そんな静絵が珍しくて、俺は彼女の名前を呼んだ。

「こんなことを言うのは不謹慎かも知れないけど…私、すごく楽しみにしているんだ。

これから大好きな朝貴さんと一緒にいられるんだって思うと、すごく嬉しいの」

そう言った静絵の手を俺は握り返すと、
「そうか」
と、返事をした。