ラグタイム2号店

駆け落ちは、ドラマや小説の定番だと思っていた。

定番だから自分にはありえないと思っていた。

自分に決して起こらない出来事だと、そう信じていた。

だから、まさか自分の身に起こるとは思ってもみなかった。

何より、自分から駆け落ちを言い出すなんて…。

だけど…静絵が俺と駆け落ちをすれば、彼女の家族は考えてくれるのではないのだろうかと思った。

幼い頃から静絵に寂しい思いをさせたこと。

幼い頃から静絵に苦しい思いをさせたこと。

そして、静絵を追いつめてしまったこと。

これらのことを家族は考えて、深く反省をしてくれるのではないかと俺は思っていた。

そんな気持ちから、俺は駆け落ちを提案したのだった。

静絵はそんな俺の提案に乗ってくれたのだった。