ラグタイム2号店

「逃げたら、朝貴さんと一緒にいられるの…?」

そう聞いてきた静絵に、
「ああ、ずっと一緒だ」

俺は答えた。

「結婚させられない?」

「当人がいないのにどうやって結婚式を挙げろって言うんだよ」

静絵は俺を見つめた。

「朝貴さんは、どこにも行かない…?」

泣いたせいで赤くなっている静絵の瞳に、
「ああ、静絵と一緒にいる」

俺は誓うように言った。

静絵が俺の背中に両手を回した。

「――一緒にいる…。

私、朝貴さんと一緒に逃げる…」

「ああ、必ず静絵を幸せにする」

もう1度宣言すると、俺は静絵の背中に両手を回した。