ラグタイム2号店

「――朝貴さん…?」

俺の名前を呼んだ静絵に、俺は頭の中に浮かんだ考えを告げた。

「――俺と一緒に逃げよう」

そう告げた俺に、
「えっ…?」

静絵は驚いたと言う顔で俺を見あげた。

「俺と一緒に、どこか遠くへ逃げよう」

もう1度言った俺に、
「朝貴さん…それ、本気で言っているの?」

静絵は信じられないと言うように呟いた。

「ああ、本気だ」

俺ははっきりと答えた。

「だけど、朝貴さんは仕事が…」

静絵がそう言った瞬間、俺の頭の中に大輔さんの顔が浮かんだ。

すぐに彼の顔を消すと、
「それくらい、何とでもなる」

静絵に宣言をした。