「何かあったのか?」

そう聞いたら、
「忘れ物があったのを思い出したんだ」

武人はそう答えた後、ロッカーへと歩み寄った。

ガチャッとロッカーのドアを開けると、
「ああ、あった」

忘れ物はすぐに見つかったらしく、すぐにドアを閉めた。

「あのさ」

俺は武人に声をかけた。

「夕貴を恨まないで欲しいんだ。

全ての原因は、俺が駆け落ちをしたことなんだから」

チラリと武人に視線を向けると、彼は俺の話に耳を傾けているようだった。

「だから、武人に責められるのも恨まれるのも全て俺の役目だ。

夕貴は俺の身勝手が原因で巻き込まれて、そうなってしまった訳で」

「そう言うことを言わせたい訳じゃないんだよ」

俺の言葉をさえぎるように、武人が言った。