「本当に、朝貴のことを心の底から心配してた。

お前が静絵さんと一緒に逃げたのは、そこまで追いつめてしまうほどにお前のことを傷つけてしまったんじゃないかと思ってた。

最初の頃はケンカ…それこそ取っ組みあいにまで発展したことが多かったけど、ここ数年はそう言うことがなかったなって思ってた。

店が繁盛して忙しかったからと言う理由もあったからかも知れないけど…たぶん、1番の理由はお互いが気を使い過ぎてしまったんじゃないかって思ってる。

本音で話しあうことがいつの間にかなくなってしまったんだろうなって、お前がいなくなった時に俺はそう思った」

言われてみれば、確かにケンカをすることがなくなってしまったような気がする。

それどころか、2人で酒を交えて飲むことすらもいつの間にかなくなっていた。

大輔さんはズズッと洟をすすると、
「だから…これからは気を使わないで、本音で話をしようと思うんだ」
と、言った。