ラグタイム2号店

「それよりも、お前の方はどうなんだよ。

お前も彼氏できたんじゃないのか?」

話を変えるために、俺は夕貴に質問した。

「えっ…」

その質問に、夕貴は戸惑った。

当たり前だ。

彼女は学生時代はバレーボール一筋で、今の今まで恋愛をしたことがなかったのだ。

男友達は何人かいるけれど、その中に彼氏はいたことがない。

「彼氏って…何で、あたしにまで話がくるんだよ」

バシンと、夕貴が俺の頭をはたいてきた。

「だってもう、そう言う年齢じゃんか」

「そう言う年齢って、兄貴もそうじゃんか」

「俺は相手がいるからいいんだよ。

お前にはそう言う相手がいないかって聞いているんだ」

「えーっ…」

それまで言いあいをしていた俺たちだけど、夕貴は口を閉ざした。