ラグタイム2号店

「兄貴…」

夕貴が呟くように、俺の名前を呼んだ。

「兄貴は悪くないから…。

本当に悪くないから…」

抱きしめてきた夕貴に俺の目から涙がこぼれ落ちそうになった。

「だけど俺のせいでお前は…」

そう言った俺に、
「あたしが謝るから、兄貴は気にしないで」

夕貴はさえぎるように言った。

「夕貴、この提案をしたのは俺なんだ。

俺が武人に謝る」

大輔さんが俺たちの顔を覗き込むと、そう言った。

「今日のところはこれくらいにしよう。

お前たち、今日は悪かったな」

そう言って大輔さんは俺たちの顔を見回した。

「とんでもないです」

翼は首を横に振って答えた後、
「あの…僕からも1つ言うことがあるんですけど、いいですか?」

そう言って、俺たちに人差し指を見せてきた。