ラグタイム2号店

俺が静絵と駆け落ちをしたことによって、夕貴にまで多大な迷惑をかけてしまったことを理解した。

「そうだったんですか…」

翼が呟くように言った。

「俺のせいで、夕貴がこんなことに…」

俺のせいで被害は夕貴のところまでに及んでいた。

夕貴は俺の代わりとして性別を偽って、双子の弟だと名乗って『ラグタイム』で働いていた。

「そもそもの発端は朝貴ではあるけれど、それらのことを実行に移したのは俺だ。

夕貴は俺の指示に従って、『ラグタイム』で働いていただけだ。

責めるなら夕貴じゃなくて、俺だけにして欲しい」

藤本さんはそう言うと、兄貴たちに頭を下げた。

こんな大輔さんを見たのは初めてで、俺はどうすればいいのかわからなかった。

武人と翼と夕貴も彼の状況に戸惑っている。

「大輔さん、頭をあげてください」

俺は大輔さんに声をかけた。