ラグタイム2号店

そう思いながら、静絵のコップにレモン水を注いだ。

あっと言う間にカルボナーラとマリネを平らげてしまった。

よっぽどお腹が空いていたみたいだ。

「ごちそうさまです。

とても美味しかったです」

ナプキンで口元をふいた後、静絵はカバンから財布を取り出そうとした。

「ああ、いいよいいよ。

今日は特別だから」

そんな静絵を俺は止めた。

「えっ…。

でも閉店準備をしている時に現れたうえに、お金を払わないって言うのは…」

静絵は戸惑っている。

「俺の奢りだよ」

俺は人差し指を唇に当てた。