坂口先輩に一度聞いたことがあった。

「矢野先輩にまだ挨拶してないんだけどさ、したほうがいい?」

あー。なんで聞いちゃったんだろ。
まだ矢野先輩のことが気になってるなんて相談してないし、バレちゃうかな

「挨拶くらいはしとけ笑」

ですよね〜笑

意を決して、言うしかないなこれは!!

こんなに緊張することほとんどない。

「遅れました。2年の関根です。よろしくお願いします!」

送るのだって迷った。

(送ってしまった…)

やばい、返信が来ない。
10時を過ぎてもこない。
無視されてるのかな…
やっぱ送らないほうがよかったんじゃないかと後悔した。

11時頃。
ピロリン♪
スマホに映る名前は
(矢野 隼)
「遅れてごめん!塾だった!3年の矢野です、よろしくね〜」

この瞬間、ものすごい歓喜が私の中で湧き上がった。本当に本当に嬉しかった。

にしても焦らすなぁ。ほんとに不安だった。一気に緊張が解けた。


「大丈夫です!お疲れ様でした!体育祭も!お世話になりました!」

すでに時刻は日付が変わろうとしていた。
これで話が続くかなとかとか思っていた。
わたしは嬉しさのあまり寝れそうにない。

「おお笑 いきなりだな!ありがとう!」
「じゃっ、俺明日も朝練あるし寝るわ!おやすみ!」

スマホとにらめっこだったから返信は超早い。
「はい!おやすみなさい!」

え?!あれ?!
もう終わりかよ...

はあ。タイミング悪かったなぁ。
もう当分話せないだろうなぁ。

心細くて悲しい夜だった。