歩いていた。ただ一人で歩いていた。その日は確か‥お婆ちゃんの家を目指していたんだ。特になんの変哲もないこの日に僕の人生に関わる事が起きてしまった。

「危ない！！」

誰かが叫んだ。声が低いから男の人かな。誰に言ってるのかわからなかった。だって、車や人通りの多い交差点は危ないからいつかママが言ってたように僕はきちんと左右確認したんだ。だけど目の前には大きなトラックが僕を喰らおうとしていた。大きなブレーキ音が魔物の鳴き声に聞こえる。トラックは止まらない。逃げようと思ったけど‥
気づいた時にはもう遅かった。

「あぐぅっ‥！！！」

痛い。

痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。

痛い。


激しい痛みが僕を襲った。

僕は目を瞑った。
手に何かを握っていた。何かわからない。わからないけど、離してはいけない気がする。強く、強く握った。
だけどそれは簡単にスルッと抜けて手の中から消えてしまった。

悪夢の日々の始まりだった。