その子はどこか、儚くて、悲しそうな笑み
を浮かべた。
そんな顔も美しい、という言葉でさえ
言い表せなくて、不思議な感じがした。
SHRというものが終わってからも、
女の子に目線がいった。
「─、おい!なつ!」
龍に名前を呼ばれたことで、意識がこっち
に帰ってくる。
「何見てんの?」
『───あの子…』
「あー、西園寺なずなちゃんってこだろ?」
『何で知ってんの?』
女の子の名前をろくに覚えない龍が
覚えていた。まぁ、容姿があんだけよかったら覚えるか…
「あのこ、入学式で挨拶した子じゃん。」
あー、だからか。
あたしは寝てたから知らないんだ。
少し見ておきたかったって思った