【眞紘side】


「あれ、眞紘じゃん!」


土曜日の午後。


家から歩いて10分ほどの小さなケーキ屋の前。


まさか、慶介とバッタリ会うと思ってなかった俺は、驚いてしまった。


「慶介、何してんの?」


「今日…夏波の弟が誕生日でさ、予約してあったバースデーケーキを取りに来た。」


「えっ、慶介が…?」


「もちろん、夏波の代理で。アイツ、誕生日パーティーの準備が忙しいんだとさ。それで、代わりに取りに行って欲しいって、さっき電話がかかってきたんだよ。」

 
「そっか、お疲れ。」


急に星川に頼まれるなんて大変だな、慶介…。


思わず苦笑してしまった。


「んで、眞紘は…どうしてケーキ屋に?」


「花奏の家に持って行こうと思って…。アイツ、確か…ここのケーキが好きだったから。」


「あれ?でも、白石の誕生日って…6月だろ?祝うには早過ぎな気が……」


「いや、誕生日祝いじゃねぇから。」


即座に否定する。


俺が今日…この店に来たのは……