「花奏の隣には…私や慶介よりも結城君がピッタリよね!結城君、花奏のところに戻って来てくれて、ありがとう…!」


「あ、ああ…。」


なっちゃんの力の入った言葉に、眞紘くんは苦笑いしながら頷く。


その光景を見ていた矢口くんが、やれやれ…といった表情で口を開いた。


「夏波…声が大きいから、眞紘たちが迫力に圧倒されて引き気味になってるじゃん…。」


「あっ、ごめんね…。感情が高まっちゃって、つい……」


なっちゃんは少し恥ずかしそうにしながら、慌てて私たちから離れる。


その姿を優しい眼差しで見ていた矢口くんは、私に視線を向けた。


「でも、俺も…夏波と同じこと思ってるよ。」


「えっ…」


「中学の時の白石は、いつも…どこか寂しそうな表情だった。笑顔だって、そう…。」


「…………。」


いつも当たり前のように傍に居てくれた眞紘くんがいなくなって、とても寂しかった…。


だけど、ずっと沈んでいても…なっちゃんや矢口くんに心配かけるだけだから、元気でいなくちゃ…。


そう心に決めて、過ごしてきたつもりだったのに…。


矢口くんに、気付かれてたんだ…。