「ま、眞紘くん……あのっ…もう擦らないから、手を離してもらえたらと……」


ドキドキして声が震える。


私の訴えに、眞紘くんは慌てて手を離した。


「ごめん、いきなり掴んだから驚いたよな…。痛かった?」


「ううん、痛くない…。」


それよりも、心臓の方がドキドキし過ぎて痛いよ…。


眞紘くんの顔を見れずに俯く。


二人して沈黙していた時、一階から眞紘くんを呼ぶ声が聞こえてきた。


「そろそろ帰るわよ~!」


眞紘くんのお母さん、なんだか声が明るく弾んでる…。


親同士、楽しく時間を過ごせたみたい…。


「呼んでるから、俺も帰るよ。」


「う、うん…。」


顔を上げると、眞紘くんの優しい笑顔が目に映る。


「今日は…花奏と再会して会話も出来て、嬉しかった。」


「私も、嬉しかったよ…。最後は感極まって泣いたりして、見苦しいところ見せちゃったけど…」


そう言って苦笑いすると、眞紘くんは私の頭をポンポンと撫でた。