「いや、大丈夫じゃねぇだろ?俺、何か傷つけるようなこと…言った?」


「ううん、違うの。そうじゃない…。お守りもシャーペンも眞紘くんが大切に持っていてくれたことが嬉しかったんだ…。」


こんなにも嬉しさを感じるなんて…。


眞紘くんのこと、本当に大好きなんだな…私。


「そうだったのか…。」


少しホッとした表情を浮かべる眞紘くんは、私と同じ目線に背を屈めた。


「花奏を悲しませたのかと思って、すげぇ焦った…。」


「ごっ、ごめん…。嬉しいと思ったら、自然に涙が溢れてきちゃった…。こんなこと、初めて…。」


ゴシゴシと目元の涙を拭っていると、眞紘くんが私の手首を掴んだ。


「そんなに擦ると腫れるから…。」


「あっ、うん……。」


重なる視線。


心臓が幾度となく跳ね上がって、触れられている手首が熱を帯びる。


今にも溶けてしまいそうなぐらいだ。