「夏波に気持ちを伝えられたのは、白石と眞紘のおかげ。ありがとな、背中を押してくれて。」


「ううん、私は何も……」


「いや、白石も心強い言葉くれただろ?ほら、地区大会の日に。」


眞紘くんを好きだと言うことが矢口くんにバレていたことが判明した、あの時。


矢口くんの口から、なっちゃんが好きだと初めて聞いたんだっけ。


「白石の言葉、嬉しかった。間違いなく、俺の原動力になってたよ。」


“ありがとう”と満面の笑顔を見せる矢口くんに、胸がジワリと熱くなる。


嬉しいな、そんな風に言ってもらえて。


力になれて、本当に良かった…。


喜びを噛みしめていると、いきなり目の前が何かに覆われて暗くなる。


「花奏、そんなに慶介ばっかり見なくていいから。」


それが眞紘くんの大きな手だと分かるのに、それほど時間は掛からなかった。