「全然気付く気配ねぇから言うけど、花奏は男にモテるんだよ。学校でも街中でも、男の視線…結構お前に注がれてるんだからな?」


「う、嘘っ…」


「事実だよ。それに、隙あらばナンパやら告白やらしようと狙ってるヤツまでいるし。」


「ま、まさか…。そんなはず……」


“ない”って続けようとしたけど、眞紘くんに唇を塞がれて、阻止されてしまった。


「俺には勿体ないぐらい可愛いってこと、自覚して?」


私の唇をなぞる眞紘くんの指。


生まれた熱が体中に駆け巡る。


「それと、何度でも言うけど花奏以外に相応しい女なんて、どこにも居ねぇよ。だって、今日…花奏が一緒に選んでくれたテーブルランプも掛け時計もブックラックも、全部俺好みだから。買い物、付き合ってもらって本当に良かったと思ってる。」


眞紘くんの表情が和らぐ。


「あのさ、花奏は自分に取り柄がないって言ってたけど、色々あるじゃん。」


「色々?」


「料理も上手いし、いつも温かい優しさで俺を包み込んで、幸せにしてくれる。鈍感なところがあって心配だけど、純粋で可愛い。それから……」


そう言った後、私に向けられたのは…日だまりのような優しい笑顔だった。