「だ、だから…眞紘くんに相応しい彼女だって誰が見ても思ってくれるように、自分磨きを頑張るよ…。」


自分に自信を持って、堂々と胸張れるくらいに…。


「自分磨きって、例えば…どんなことすんの?」


黙って私の話を聞いていた眞紘くんが、怪訝そうな顔で訊ねる。


「えっと、もっとオシャレに気を遣ったり、運動や食事で内面から綺麗になれるように努力したい…。料理も、色んなジャンルのものを作れるようになりたいし、勉強も苦手科目を克服したい。」


「そんなにあるのか?」


「これだけじゃ、足りないぐらいだよ…。他にも頑張れること、たくさんあると思うし…。」


眞紘くんは“ふーん”と抑揚ない声を零した後、苦笑いを浮かべた。


「……何も分かってねぇな、花奏は。」


「えっ?」


「鈍すぎるのも、ちょっと問題かもな…。」


それって、どういう意味なんだろう…?


頭の中に疑問符を浮かばせていると、眞紘くんは小さく溜め息をついてから、私の頭をポンポンと撫でた。