「そんなことねぇよ…。ありがと。」


慶介に指摘されなきゃ、俺は…緊張の渦に囚われたままだったかもしれない。


また、背中…押してもらっちまったな…俺。


「あとは、眞紘が真っ直ぐ突っ走るのみ…だな!」


「おう。」


今度は立ち止まらない。


先延ばしにしない。


ずっと膨らませ続けてきた自分の気持ちを、花奏に伝えるんだ。


「慶介…。」


「ん?」


「明日、星川の地区大会の応援が終わった後…花奏に言う。どんな結果になるか分からないけど、決着つけてくる。」


「そっか…。頑張れ、眞紘。」


肩を組む笑顔の慶介。


応援してくれてる温かい気持ちに、笑みが零れる。


俺は、ポケットから花奏の手作りの御守りを取り出すと、それを包み込むように優しく握った。


俺の初恋、実るといいな…。