「んっ、美味っ…!」
「ほんと…?焼き色がつきすぎたかな…と思ったんだけど……」
「俺は、そんなに気にならねぇよ?」
「そ、そっか…。でも、味付けとかフンワリ感は、お母さんの作ったものと違うでしょ?同じように作ろうと思ったんだけど、上手くいかなかくて…。」
眞紘くん、私のお母さんが作る卵焼きが好きなのに…。
フンワリっていうより、しっとりした感じになったし…。
ガクリと肩を落とすと、眞紘くんは、もう一つ卵焼きを食べた。
「俺、今までは…おばさんが作ってくれる卵焼きが一番だったけど、これ食べたら変わった。」
「えっ?」
「花奏の作った卵焼きの方が、俺好み。こっちの方が…好き。」
ドクンッと鼓動が波打つ。
「あっ、えっと……あの…ありがとう。」
動揺のせいか、ぎこちなくて少し震えた声が飛び出した。
私ってば、何で…こんなにドキドキしちゃってるんだろう…。
眞紘くんが好きなのは卵焼きだよ、卵焼き。
私のことじゃないのに…。


