三年後

「カムル街にて
幾人の兵隊在り
それを囲う人々皆笑顔で
何か祭事でもあるのかと
近くで見るに
彼等皆血塗れ
顔は赤に染まりていたり
隊長は兵隊の脇を蹴り
兵隊は血を吐いて起ち上がる
これ見て笑う人情哀しく思い
我この街去りける シュテルン」

ロートは目を覚ました。
ゆっくりと身体を持ち上げ、濡れた裾を掴み服を脱いだ。
全く寒さは感じなかった。
その代わりに恐ろしい程の脈動が続いていた。その上流にあったのは人に似つかない大きな腕。長い爪で、毛深く、岩のように硬かっ た。
ロートにはその腕が自分の物と信じられなかった、無理もない。自分は黒竜に喰われ死んだ、そう記憶されているから。



何でもない空白の時間が過ぎ、ロートはその脈動震えに耐えれず倒れた。