いつもと同じ時間、同じ車両。

彼と仲良くなって、半年が過ぎた。

「翼くん!」

本に夢中で私に気が付かなかったのか、声を掛けたら、ビクッ!と翼くんの体が震えた。

「へ!?……あ、美里ちゃんか」

「……あはははっ!今の翼くん、凄かった!」

私はお腹を抱えて笑った。

「み、美里ちゃんが急に声を掛けるからでしょう!?」

「いや、それもそうだけど……ププッ!」

翼くんの隣に座る。

「今日は推理物?」

「え?……ああ、うん……」

「どうしたの?そんなに怒った?」

さっき驚かさせてしまったのが、そんなに勘に障ったのだろうか。

「……元カノが」

「え?」

「……元カノが、よりを戻してくれって、言って来たんだ」