「本当に、ありがとうございました!」

私は、ガバッ!とお辞儀をした。

「どういたしまして」

ニコッと微笑む。

さっきの痴漢は、駅員さんに捕まって行ってしまった。

「私、痴漢なんて初めてで、どうしていいか分からなくて……」

思い出して、少し震えた。

ポンポンッ……と、頭に温かい感触。

「怖かったよね……」

「……はい」

ホッとしたら、ポロポロと涙が零れた。

彼は、私が落ち着くまで、そばにいてくれた。